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「っ…はぁ!はぁ!
ちっ。またこの夢かよ…」
目を覚ました麗は
乱れた呼吸を整えようとゆっくり深呼吸をした。
「毎度毎度、あっちの世界の俺の終わりばっかり見せやがって!
何の意味があんだつーの!」
麗が怒るのも無理はない。
この世界に転生してきてしばらくしてから
見始めたこの前世の記憶は毎夜、毎夜と麗を苦しめのだ。
「はぁ…
俺がこの国…いや、この世界に転生してから16年か…」
そう呟いて麗はベッドから立ち上がり
窓まで歩み寄った。
歩み寄った窓は一見したらなんの変鉄もない窓だが、
その中央には異彩を放つ、真っ黒な紙に金色の文字で【闇霊(みれい)】と書かれたお札が貼られていた。
「霊雷(れいしん)。」
霊がその札に触れ、そっと言葉を紡ぐとバリバリッと窓が放電した雷のように光を放ち、一瞬にして中央に貼られていたお札は灰になった。
灰になったのを確認した麗は
何事もなかったように窓を開いた。
「んーっ!!!
朝一の外は最高!」
そう麗が声だすのも無理もないほど空気が清んでいた。
朝を知らせる風のごとく空中を舞う、爽やかな水。
さわさわと木々の葉が重なりあうごとく重なりあう、木々の形をした火。
そして、
下町を思わせるように活気に溢れた人と妖が暮らす街。
そう、ここ日本と言う国がある世界ではないのだ。
この世界の名は…
【霊人妖霊(レトアレ)】
人と妖が共存する世界である。
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