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一瞬何が起きたのかを整理する亮平は、外人と両親、そして謎の用紙を結び付ける。
「まさか…(じ、人身売買されたーッ!!肉親に借金のカタに身売りされたーッ!!)」
「そう驚くな。夫よ」
そう言って亮平の手を握り、威圧感と笑顔の混ぜ合う表情で見るエヴァ。
「君はこれから我が祖国、ローシュ共和国へと向かい、豪華絢爛かつ神聖なる大聖堂で挙式をする。一目見て正しく我が夫となるに相応しい容姿と顔付き。特に特徴と呼べる特徴がないその捉えどころの無い顔は、まさに神が与えたもうた奇跡だ」
「おいコラ。今さり気なく喧嘩吹っ掛ける事言ったろ?」
エヴァの掴む手を振り離す亮平に、彼女は「コレが世に言うツンデレか?」と答える。
「ンなワケねぇだろ!…って」
気が付けば馬車に追従していたベンツからサングラスを掛けた何人もの黒スーツ女性達がテントを設置し、更にはテーブルクロスの敷いたテーブルにティーセットを置いていた。
「まぁ落ち着け、夫よ。我が祖国のハーブティーでも飲め。いや、ジャスミンティーかレモンティーが良いか?」
「私有地でティーパーティーすんな!大家さんも一言…」
大家に一言言ってもらおうと彼を見ると、エヴァがセバスと呼んでいた執事からアタッシュケースにぎっしりと詰まった札束を見て喜んでいた。
「3000万ほどですが、しばしここをお貸し下さい」
「寧ろ移住して下さい!」
(か、懐柔されてたーッ!!)
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