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今まではエステリアもそれで良かったと思っていたのだが、八年前の出会いが全てを変えてしまったのだ。
「どうしても譲れないのだな?」
「はい。」
少し沈黙が流れた後に口を開いたバグレストの言葉にエステリアはただ頷いた。
正直許可が貰えるとは思わなかったが、それでも彼女は行かない気にはならなかった。
「…分かった。
旅に出ることを許可しよう。」
「よろしいのですか!?」
まさかバグレストが許可するとは思っていなかったジークアは驚きを隠せない様子だった。
許可を得れたエステリアは思わず表情が緩んでしまったが、それに気が付いたバグレスト鋭い眼光で彼女を見つめた。
「ただし条件を付けさせてもらう。
お前がどうしてもと言うから許可するだけであって本意ではないからな。」
「その条件とは?」
彼の鋭い眼光にエステリアは少し怯みながらも恐る恐る尋ねる。
するとバグレストはニヤリと笑った。
時は戻り現在-
今日、フリジアーツの広場には多くの人が集まっていた。
理由はエステリアの護衛を引き受けようと腕に自信のある者が名乗りをあげたからだ。
中にはエステリアの姿を一目見ようと来た者もいるようで、わざわざ国外から来た者もいた。
「思いの外集まりましたな。」
「うむ、果たしてこの中でエステリアを上回る者が何人いるのやら。」
広場を見回して満足そう頷いたジークアに対してバグレストは無表情だった。
そこからは何の感情も読み取れない。
バグレストがエステリアに出した条件。
それは一般人の中から自身の護衛の選抜を行うというものだった。
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