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いつか宗助の元に一人で行けるようになるための、始めの一歩。
いままで蝶よ花よと大事にされすぎてきてしまったけれど、もっと一人で外に出なければ。
人目が気になっても、痴漢にあっても、からまれたって、構わない。
一人で戦える力を養うんだ。
「オマエいくら持ってる? 」
「一万五千円くらいあるよ」
「なんかあったら俺のケータイかけてこい。ええな? 」
「そんな心配しないで。家に着いたら連絡するね」
じゃ。と駅へと続くエスカレーターを降りてゆく楽人を見送って二人はなんともいえない気分になる。
「子離れできませんね、お互い」
「あの二人は特別にな」
「我々も帰るとしますか」
「どっちの家に帰る? 」
「それはもちろん、小鳥遊からの連絡にそなえて、ココから近い方ですね」
「え? じゃあ」
「もちろん。小鳥遊の帰宅連絡があるまでは、オアズケですからね」
「小鳥遊~。頼むで~寄り道せんでくれよ~~っ」
そう、これが僕たちの夏休み――
おわり
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