第9章  仲間

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 桃子と壮太は、階段をおりた。  やるべきことが明確になり心の中が整理されたからか、桃子の目には行きと帰りの風景が少し違って見えたきがした。  「き、金曜日は何してたんですか?」  桃子の口からそんな言葉が出た。  別に杏子のことをききたかったのではない。桃子の心にいいわけじみた思いが浮かんだ。 「金曜日?うーん、杏子さんが車のバッテリーがあがったとかで、歩いて出勤してたから、家まで送っていったくらいかな。そういえば春野たちは飲み会だったの?コンビニの横にいただろ」 「……はい」  ――完全にばれてた。 「杏子さんが気がついて『何してるんだろ?』っていってたよ」  黒田杏子は牧野かまどよりも一枚上手だった。帰ったらちゃんとかまどに報告しなければ、と桃子は思った。  ばればれな探偵ごっこが照れくさくて、桃子は話題を変えた。 「あの、……蒼井さんは、さっき何をお願いしたんですか?」  誰か個人的に想いを寄せてる人のことでも、祈ったのだろうか。  そう思うと少し寂しくなった。  壮太は優しい瞳で桃子を見た。 「春野たち全員が、悔いなく卒業すること」  あ――。  桃子は、数秒前の自分が恥ずかしくなった。  ――私は、自分のことばっかりだ。
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