第9章  仲間

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 桃子は一人教場に戻ると、教場の椅子と机をどかし、少し広いスペースを作った。  これで自主訓練のための準備完了だ。  本当は誰かに状況を出してもらいたかった。しかし、皆自分の勉強で忙しいから邪魔してはいけない、と桃子は思っていた。  自分が頼られるのはいいが、人に頼るのは相変わらず苦手だった。 「負傷者発見!……相手が驚かないように、可能であれば足元から静かに近寄る」  桃子は誰もいない教場の片隅で、ぶつぶついいながら体を動かした。  突然、教場の扉が開いた。  桃子はびくりとして、動きを止めた。  誰かに見られたと思うと、恥ずかしかった。  桃子は何事もなかったように、扉の方に目をやった。 「一人で、何こそこそしてるの?」  そこには腕を組んだかまどがいた。  続いて、愁哉とゆいも部屋に入ってきた。 「あれ?みんな食事に行ったんじゃ……」 「ごまかさない。何してたの?」 「……訓練を、少々……」  かまどに嘘をついたところで、すぐに見破られてしまうことを桃子は知っていた。  いつもは黙っている愁哉が口を開いた。 「おまえなあ、水臭いぞ。仲間だと思ってるのは俺だけか?やるなら声かけてくれよな」  ゆいもガッツポーズを作って桃子を見た。 「あの、私ができることは少ないかもしれませんが、一緒にやりましょう」  かまどが桃子の背中をばしっと叩いた。 「まったく一人でこそこそしてんじゃないわよ。一緒にやるの?やらないの?」   皆自分のこともあるのに――。  桃子は胸が詰まる想いでいった。
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