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「……よろしくお願いします」
桃子は深々と頭を下げた。
声が、少し震えた。
「じゃあ、まずは腹ごしらえだ。異存ある者、……なしだな。じゃあ、皆で食堂いくぞ」
愁哉がそういうと、ゆいが得意気にいった。
「今日は酢豚ですよ!」
「あんたは、そればっかりね」
かまどが、呆れ顔をした。
ここにきて急に皆の優しさが心に染みた。
このメンバーは当初は問題ばかりで、桃子は心のどこかで、自分だけが皆を支えている気になっていた。
しかし、それは完全な自惚れだった。
――みんなが同期で、本当によかった。
桃子はこのメンバーに出会えたことに、心から感謝した。
その日から、同期全員での自主訓練がはじまった。それぞれが苦手なところを補完しあった。桃子が訓練中に止まってしまうことはなかった。
しかし、桃子の心の底には、まだ一抹の不安が残っていた。
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