序 章  あの日

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序 章  あの日

 B747-400-47C  春野桃子は、目の前の真っ白な機体を見上げた。  政府専用機は太陽を反射して、いつもより輝いて見えた。    ――今日、ついに空中輸送員として初めての任務運航を迎える。  桃子は緊張をかみしめながら、辺りを見回した。  機体周辺では、整備員が出発の準備に余念がない。  政府専用機の開け放たれたドアには、パッセンジャーステップ車が取り付けられ、機内へと続く道ができていた。  桃子は階段の一段目から順に視線を上げていき、その先にあるドアを見つめた。この光景を見ると、自然とそこに立って笑った彼を思い出してしまう。  桃子は、真っ青な空を見上げた。  はじめて彼とあったのは、上京したての春だった。  あの日、彼に出会わなければ、きっと自分は今ここにはいない。  そう、思い起こせば  すべてはあの日、航空神社からはじまった――。 
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