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「……うん」
「田上?」
「……名前がいい」
「……潤」
嘉納くんが私を見つめる。
……冷たいメタルフレームの奥の瞳は、
やけどしそうなくらい熱い。
目を閉じたら、
嘉納くんの唇が私の唇にふれた。
……ああ。氷のような人だと思ってたのに、
本当はこんなに熱い人だったんだ。
……けど私は。
いつも冷たい嘉納くんが、
彼女相手だと
あんな風になってしまうなんてことを、
まだこのとき知らなかった。
【終】
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