やけど

2/10
前へ
/10ページ
次へ
……現在、私はなぜかピンチに陥っています。 「……なあ。それでほんとにいいのか?」   頭上から降ってくる重低音の声。 見上げなくても、 なぜか嘉納くんが怒ってるのがわかる。 逃げたいのに嘉納くんは、 棚に向かってる私の後ろに立って、 両側から囲むように手をついてる。 ……一体、どうしたらいいんでしょうか?   遡ること三十分ほど前。 同期の瀬戸くんにチョコをもらい、 さらに嘉納くんが探していたと告げられた。 ……なんで、嘉納くんが私を探しているんだろ。 なんか怒らせるようなこと……したな。 きっといるから、 そういわれた資料室に向かいながら、 お昼休みに入ってすぐのことを思い出してた。 「田上の同期はいいよね、 瀬戸くんも嘉納くんも格好いい」   お昼ごはんに出ながら、 先輩がそんなことをいってきた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加