瀬戸と嘉納とそして田上と やけど

やけど

「うっ」

……資料探しの名人。

なぜなら私は、
古い資料の電子化を担当してて、
そのせいか社内一探すのが上手いって
いわれてる。

嘉納くんから告げられた、
二十五年ほど前の資料を探していく。

うちの会社は十年前に新社屋に移転してて、
それより前の資料は箱に詰められたままに
なったりしてるから面倒だ。

それでも大体当たりはついてるから、
二十分くらいで見つけられた。

「嘉納くん、これじゃないの？」

棚に向かってる私の後ろに立つと、
嘉納くんは資料を開いて確認した。

「ああ、これだ。
やっぱ名人に頼むと早いな」

「そんなことないよ」

「そういや、瀬戸が結婚するって聞いたか？」

「うん。
同期で一番乗り、って三人しかいないけどね」