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猫の飼い主が決まったって知ってから1週間が過ぎてしまった。
あれから、
一度もあの子に逢いに行っていない。
仕事の方が忙しくなってしまって、
取引先に提出する書類の変更や修正で残業が続いてしまってるからだ。
もう、あの子、飼い主に引き取られちゃったかな。
もう、私があそこに行く理由が無くなっちゃった。
海翔さんに逢いに行く理由も。
そう思うと、
余計逢いたくなってしまう……。
「高岡芽依、そっちはだいぶん進んだか?」
「…あ、はい。それに、夕方メールが届いて、明日の午後イチでいいそうです」
「そうか。じゃ、今夜はキリのいいとこであがっていいぞ。ゆっくり休め」
「大丈夫です。主任と違って、まだまだ若いんで」
「言ってくれるな。
まぁ、ムリはするなよ?」
「はい!」
午後9時を回って、
連日の残業に、松岡主任が心配して、何度か声をかけてくれていた。
でも、仕事だけはちゃんとしておきたくて、デスクから離れることができずにいた。
本当は、余計なことを考えたくなくて、
仕事に逃げてしまっていた。
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