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最近の高岡芽依を見ていると、入社したてのコイツのことを思い出してしまう。
仕事に一生懸命で、
まるで何かを忘れるために仕事に没頭しているような姿を…。
あの時は、
確か、コイツの同期の日下優がいつだったか、昼休みに大きな声で言ってたっけ、
『元カレのことでグジグジしないで、新しい恋しなさいってぇ』
それを聞いて、コイツは、
『もう、男なんて信用できないから恋はいいや』
そう言ってたっけ。
なぁ、高岡芽依、今回も男のことなのか?
お前は、また誰かを好きになったのか?
最近、綺麗になったのは、その男のせいなのか?
そんなヤツが居るんだったら、俺の前で無防備に寝てんじゃねえよ。
気づいたら、
俺は、無意識に、
気持ちよさげに眠っている、少しだけ幼さの残った、あどけない寝顔に話しかけていた。
返事なんて返って来る筈なんて無いのに…。
暫くしても、起きる気配のない高岡芽依の背中に、そっと自分の上着を掛けていると、
肩までの柔らかそうな栗色の髪が、顔を覆ってしまった。
その髪を耳にそっと掛けながら、
俺じゃダメなのかって、言ってしまいそうになったのを、グッと飲み込んだ。
これ以上、口にしてしまうと…、想いが溢れて止まらなくなってしまいそうだから…。
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