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*芽依side*
「……ん、あれ?あ、寝ちゃってたんだ…」
「お前なぁ、やっと目覚ましたのかよ?
早くしろ、送ってく」
目を覚まして、ボーッ…としてる私に、
正面の席から、呆れたように言って来る松岡主任の声で、やっと頭が働き始めた。
「え、大丈夫ですよ。近くだし」
「今、何時だと思ってんだよ?お前を一人で帰せる訳ないだろ。一応、女だろうが、行くぞ、ほら、早く来い!」
「ちょっと、主任、待って下さいよっ。そんな、慌てなくても」
私が申し出を断ると、
明らかに機嫌の悪そうな表情になっていく松岡主任に急かすように言われて、
おとなしく主任の後を追いかけた。
いつのまにか、掛けてくれていた主任の上着を抱えて。
今までも、
残業で遅い時間になると、私が断っても、上司の役目だと言って、
車で通勤してる主任がこうして送ってくれることはあった。
でも、いつもは、
今日みたいに高圧的じゃないし、こんなに機嫌の悪い主任を見るのは初めてのことだった。
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