*2*

9/20
前へ
/20ページ
次へ
いつも通りの主任に戻ってからは、 運転しながら私をからかったり、冗談を言ったりと、本当にいつもとおんなじなんだけれど…、 どこか少し違う気がしてしまう。 「主任、いい加減にして下さいよっ。 あーぁ、髪がもつれちゃったじゃないですかぁ…」 「ハハ、ざまぁみろ。 そんなもん、適当に指でこーやって直せばいいだろ?ほら」 そう言ったかと思えば、 本当に適当に私の髪に指を通し始めたから…、 引っ張られて痛くて堪らずに抗議するように睨むと、 「お前の髪って、ねこっ毛で柔けえよな。気持ち良くて…ずっと触ってたくなる。 誰かに、言われたことないのか?」 「……ないですよ…」 「そうか?」 ふっ…と柔らかい笑みを浮かべて、優しい眼差しを向けられてしまい…、 そういう主任に慣れてなくて、 なんだか居心地が悪くなってしまった。 今日の主任は、 雰囲気も少しいつもと違う感じがして、どうも調子が狂ってしまう。 私も残業が続いているし、少し疲れてるからかな。 なんて…失礼なことを思ってしまった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1304人が本棚に入れています
本棚に追加