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「お、それ、うちの企画が通ったやつだよな?海老のすり身使ったやつ。
どれどれ……うん、うまいなぁ」
楽しそうに言いながら、
私が食べてるお弁当を覗き込んできた主任が、
あろうことか私がお箸で挟んで食べようとしてた海老だんごを、
私の手を掴んだかと思うと、あっという間にパクリと口に入れてモグモグと咀嚼し始めた。
最後の楽しみにとっておいたのに……。
「あー、それっ。なんで食べちゃうんですかぁ!もう、信じられない。楽しみにしてたのにー」
「お前なぁ、そんなにギャーギャー怒ることないだろう?コーヒーで勘弁しろ。奢ってやるから」
「じゃぁ、カフェオレにしてください」
「はいはい、わかったよ。日下は?何がいい?」
「……え、あぁ、ありがとうございます。私も同じものを…」
急に呼ばれて驚いた優が、
いつになく遠慮がちに言うのを聞きながら、私は残りのお弁当を片付けていた。
主任は私たちに背中を向け、
休憩室の奥にある自販機にコインをじゃらじゃらと投入している。
視線を感じて優を見ると、
ニヤニヤして何か言いたげだったけど、
大体の予想がつくから無視を決め込んだ。
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