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「ゴホッ…、ゴホッ…」
どうも気管に入ってしまったようで、咳が止まらず苦しんでると、
「おいおい、大丈夫なのかよ?まったくお前は落ち着きのないやつだなぁ」
って言って、近くにいる主任が笑いながら私の背中を擦り始めた。
そしたら、
「あ、私、今日、トイレ掃除の当番だったんだ。じゃ、お先に行ってきます!」
なんて、
いかにも棒読みの優が、
私のと自分の空になってるお弁当の容器をゴミ箱に捨ててから、休憩室を出て行こうとしている。
こっそり、
私にだけ見えるように、下手なウインクをして、しかも満面にニッコリと笑みを浮かべて…。
あまりにも露骨過ぎて感心してしまう。
「あぁ、日下、頑張ってなぁ」
「はぁい!」
出る間際に、主任と呑気に言葉を交わしてから出て行ってしまった。
「お前、大丈夫か?涙目になってるじゃねえかよ」
「だ、大丈夫です。どうも、ありがとうございます…」
漸く、落ち着いた私が、
ふっと顔を上げると、主任の顔が思ったよりも至近距離にあって、私の顔を覗き込んでくる。
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