1613人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「お前、良かったな?」
「……へ!?」
頭の上に、『?』を浮かべてるような、不思議そうな表情をしてるのが可笑しくて。
ふっ…と思わず噴き出してしまった。
「ハハ、お前、何、間抜けなツラしてんだよ?男ができたんだろ?」
「……え、まぁ…」
俺がタバコを出して口にくわえながら問えば、なんともハッキリしない返事が返ってきた。
なんなんだよ…歯切れの悪い。
「まぁ、フラレないよう気をつけるんだな…」
「……はい」
それだけかよ。
いつもだったら間髪いれずに言い返してくるクセして。
「なぁ、お前、フラレれたら教えろよ?」
「へ?!なんでですか?」
「俺がじきじきに愚痴でも聞いて笑ってやるよ。一応、上司だからな」
そん時は、
上司じゃなくて、一人の男として必ずお前を振り向かせてみせるけどな。
「遠慮しときます」
「ハハ、お先。仕事に遅れんなよ」
案の定、
ムスッ…としてる高岡芽依の髪をグシャグシャッと撫でてから、
「わっ、ちょっと主任、髪グチャグチャになったじゃないですかぁ!」
「ハハ、知らねぇ」
いつものように、文句を言ってくる元気な声を聞きながら休憩室を後にした。
結局、タバコを吸い損ねてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!