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海翔さんのあったかい腕の中で、 何度も、何度も、昇りつめるたびに、 ギュッ……と強く抱きしめてくれた。 何度も、何度も、抱きしめてくれるたびに、 優しく触れるだけのキスもしてくれた。 こんなに、 優しくされちゃったら、 あったかい腕の中から離れられなくなっちゃうよ。 ……もうなっちゃってる気もするんだけど。 目を覚ました私は、 もう日付が変わってしまい 窓のカーテンの隙間から零れてくる 僅かな月明かりだけの薄暗い部屋の中で、 穏やかな表情を浮かべて眠っている 海翔さんのあったかい腕に抱き寄せられている。 もう帰らなきゃ…って思うんだけど、 ここから抜け出せないでいる。 綺麗な寝顔に、 そっと手を伸ばせば、すぐに届く距離なのに。 少し前まで、 あったかいお互いの体温を分け合っていたのに。 今は、 海翔さんまでの距離が遠くに感じられて、とっても寂しいよ。 それを、なんとか堪えるために、 綺麗な寝顔に、 そっと触れるだけのキスを落として。 海翔さんを起こさないように、 静かに身体を起こしてベッドから抜け出した。 ……そうしようと思っていたのに…… 「……芽…依」 「あ、ごめんね。起こしちゃったね、寝てていいよ、帰るだけだから。わぁっ!………海翔さん?」 目を覚ましてしまった海翔さんによって、 腕を引っ張られてバランスを崩した私は、 抱きしめられて動けなくなってしまった。
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