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診察室から待合室に移動した私たちは、 ソファーに座って改めて挨拶をしている。 海翔さんのお母さんは、 変わらず…にこやかに私の右隣で私の腕に抱きついている。 一方の海翔さんはというと、 すっごく不機嫌そうに私の左隣で腕組みをしている。 時々、お母さんに向けて冷たい視線と冷たい言葉を送りながら。 ……そんな、 どこまでも対照的な二人に挟まれている私は、 身を縮めてちっちゃくなっているのだった。 「本名は五十嵐彩乃(アヤノ)っていうの。宜しくね?」 「あ、はい。こちらこそ、宜しくお願いします…」 「で、お仕事の時は、涼風彩(スズカゼアヤ)だけど、ご存知かしら?」 「ふんっ。そんなことまで言わなくていいんだよ」 ええええ…!? そ、 そういえば… さっきから何処かで見たような気がしてたんだけど……。 涼風彩っていったら、 日本を代表する大物女優のあの涼風彩? 最近、 結婚したとかって話題になってなかったっけ? またまた、 ピシャリと…冷たく言い放つ海翔さんの隣で、 私はまたまたフリーズしてしまったのだった。
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