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午後8時前、
海翔さんから迎えに行くというメールを貰ったから、
さっきからソワソワして落ち着かない。
海翔さんの車に乗せて貰うのが初めてだからっていうのもあるんだけど。
まだ付き合い始めたばかりで、
デートだってしたことなかったし、
海翔さんから返られてきたメールには、
どこかで夕飯を食べようという言葉があったから、嬉しくて堪らない……。
パソコンの画面を覗きながらキーボードを叩く手がいつもより軽快な音を響かせる。
「おい、高岡芽依」
「……はい」
前方から突然松岡主任の声に呼ばれて、
ハッ…と我に返った私がガバッと顔を上げると、
「……お前、さっきからニヤケてんぞ。デートかよ?」
「え、あ、いえ」
呆れたように笑う主任に、
ズバリ言い当てられてしまった私は、
しどろもどろに答えることしかできなかった。
「ハハ、お前、解りやすいヤツだな。
もう、いいから帰る準備しろ。
俺ももう帰るから、ついでに送ってってやるよ」
そんな可笑しな返事を返した私を
いつものように笑いながら片付けを始める松岡主任。
どうやって断ろうかと思案しながらパソコンの電源を落とした。
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