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海翔さんの部屋で泊まることになって、 「…芽依…」 「なぁに?」 なかなか寝付けなくて。 あったかい布団の中で海翔さんにぴったりと寄り添って甘えていたら、 不意に呼ばれて、海翔さんの顔を見上げると、 綺麗な濃いブラウンの瞳に真っ直ぐに見つめられて、 射抜かれたように動けなくなってしまった。 怖いぐらいに真剣な表情をしていたから……。 「……いずれ、解ることだから先に言っとくな」 余りに真剣で、それにどこか不安げで、瞳が揺らいで見える。 ゴクリ…と息を飲んだ私は、頷くのが精一杯だった。 そしたら、 海翔さんの胸に抱き寄せられ、 ギュッと抱きしめてくれて、 私の頭を優しく撫でながら、ゆっくり話し始めた。 「俺、父親に望まれずに生まれたんだ」 「………」 言葉が出てこなかった。 「俺の父親は、結婚してて家族がいて。 母親は愛人だったから…父親には黙って俺を産んだんだ。 処分しろって言われるのが解ってたから。 俺、ずっと、生まれて来なければ良かったって、そう思ってた。 今日、芽依に、母親のお陰で俺が居るんだって言ってもらえて、嬉しかったんだ。 そんなこと言われたこと、なかったから。 初めて、こんな俺でも産んで貰えて良かったって思えた。 だから、芽依には、俺のことで不安にならないで欲しい。 俺、上手く言えないけど、こんなに大事だって思ったの芽依が初めてなんだ」 「私も、私も、海翔さんのこと、大事だよ」 「あぁ、ありがとう」 最後の言葉で、 海翔さんが私のために言ってくれたっていうのが解った瞬間、 涙が零れそうになるのをなんとか堪えて、 ギュッ…と海翔さんにしがみつくことしかできなかった。 海翔さんがずっと辛い想いをしてたんだって思ったら、 私なんかが泣いちゃいけないって思ったから……。 でも、言って貰えたことが嬉しかった。
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