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*海翔side*
「ずいぶん楽しそうだったな?」
ハンドルを握りながら、
視線は前に固定したままで、
自然にって心がけたつもりが…、
少しだけ怒ったような口調になってしまった。
「…え?うん。
颯介さんの作ってくれた料理がどれも美味しかったし。
話しも楽しかったから」
そんな俺の口調に、
一瞬…不思議そうな表情を浮かべた。
直後、
颯介さんとの会話の内容でも思い出しているのか、
笑みを零しながらとても楽しそうに答える芽依。
どうした訳か面白くない……。
「…ふぅん」
口からも素っ気ない返事しか出てこないし。
「……海翔さん…怒ってる?」
俺の態度が可笑しいことに気づいた芽依が恐る恐る聞いてくる。
俺の顔色をうかがうようにして真っ直ぐ視線を向けて。
「イヤ、別に」
……あぁ、俺ってカッコ悪いよな?
颯介さんに嫉妬するなんて……。
「海翔さん。
もしかして……ヤキモチ…?」
さっきまでの不安そうな表情が一変。
嬉しそうに身を乗り出してくる芽依に、
ズバリ言い当てられてしまい、情けなくなってきた。
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