*8*

10/23
1135人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
*海翔side* 「ずいぶん楽しそうだったな?」 ハンドルを握りながら、 視線は前に固定したままで、 自然にって心がけたつもりが…、 少しだけ怒ったような口調になってしまった。 「…え?うん。 颯介さんの作ってくれた料理がどれも美味しかったし。 話しも楽しかったから」 そんな俺の口調に、 一瞬…不思議そうな表情を浮かべた。 直後、 颯介さんとの会話の内容でも思い出しているのか、 笑みを零しながらとても楽しそうに答える芽依。 どうした訳か面白くない……。 「…ふぅん」 口からも素っ気ない返事しか出てこないし。 「……海翔さん…怒ってる?」 俺の態度が可笑しいことに気づいた芽依が恐る恐る聞いてくる。 俺の顔色をうかがうようにして真っ直ぐ視線を向けて。 「イヤ、別に」 ……あぁ、俺ってカッコ悪いよな? 颯介さんに嫉妬するなんて……。 「海翔さん。 もしかして……ヤキモチ…?」 さっきまでの不安そうな表情が一変。 嬉しそうに身を乗り出してくる芽依に、 ズバリ言い当てられてしまい、情けなくなってきた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!