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「……そう…だったら、笑うのか?」
苦し紛れに……開き直ったような言葉が口をついて出てしまった。
バツが悪くて、
とてもじゃないが芽依の方を見ることなんてできない。
こんな居たたまれない気持ちは初めてだ。
どうやって凌げばいいのかすら解らない。
流れていく色鮮やかな街の灯りを見つめながら、
どうやったら取り繕えるかってことばかりを考えていた。
そんなカッコ悪い俺なのに……。
「笑ったりしないよ?
ヤキモチ妬いてくれてスッゴく嬉しい」
とても嬉しそうに喋りながら、
さっきとは比べもんにならないくらいの眩(まばゆ)い程の笑みを浮かべた芽依が、
更に、俺の方へ真っ直ぐ身を乗り出してくる。
「……芽依は…俺を惑わせてばかりだな?」
そんな風に言われたら、見つめられたら、
今すぐに芽依のことを腕の中で閉じ込めてしまいたくなる。
芽依の心も身体も、何もかも全部を……。
「……え?」
幸い、零してしまった声は聞こえてはいないようだった。
不思議そうに小首を傾げて…いつものどんぐり眼で俺を見つめてくる。
芽依にかかれば、
俺の理性なんて一瞬にして吹き飛んでしまうようだ………。
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