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本気で人を好きになるってことが、
こんなにも不安で苦しいことだとは思いもしなかった……。
人の心なんて変わりやすくて、不安定でしかないのに。
芽依には、ずっと俺のことだけを見てて欲しい。考えてて欲しい。
……そんなことを願ってしまう。
ずっと俺のものであって欲しいなんて願ってしまう。
俺って、今まで何やってたんだろうな?
芽依への想いに気づく度に、自分の愚かさに気づかされる。
ふと、颯介さんに聞かれたリカのことが頭を過った。
アイツは颯介さんの元奥さん(しのさん)の妹で、
俺にとっても妹のような存在だった。
育った環境もよく似ていたし、同じ寂しさを紛らすだけの割り切った関係だった。
『彼女のフリしてあげる。あたしも助かるし、一石二鳥じゃない』
確か、高校の時にリカのその言葉から始まったんだっけ。
お互いに、恋愛感情なんて持ってなんてなかった。
いつも、アイツには他にも男が居たし。
颯介さんがどうしてリカのことを聞いたのかなんて解らなかった。
頭の中が、芽依のことで、一杯一杯だった俺には……。
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