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*海翔side*
芽依の誕生日である20日。
まだ付き合う前に、チラッと聞いていた誕生日を祝ってやりたかった。
芽依には内緒にしてもらってはいたが、
颯介さんの店の予約も本当は一週間前には取っていた。
結構人気があるため、当日に取るのは流石に無理だったけれど。
部屋に着いてからは、
夜景にはしゃぐ芽依を見ているうちに、
俺の理性は直ぐに吹き飛んでしまったが……。
なんとか芽依にも喜んで貰うことに成功し、
俺はホッと胸を撫で下ろしていた。
あと一つのミッションを残して。
「海翔…さん、ありがとう」
少し涙声になりながら、胸に顔を埋めたまんまで言ってくる芽依。
「海翔だろ?言えないんだったら、これはお預けだからな?」
気恥ずかしさを拭い切れない俺は、
どうしてもこんな言い方になってしまう。
「え?」
なんだろう?って表情で、
俺の方を見上げてきた芽依の首にそっと、
この日のために用意していた小さなオープンハートのついたチェーンネックレスをそっとつけた俺。
それに気づいて、また涙を零しながら、
「…海…翔、あり…がとう。
私も愛してる」
初めて俺をそう呼んでくれた芽依をギュッと力任せに抱きしめた。
どっちが、誕生日なんだ?ってくらい、喜んでもらえたことが嬉しくて堪らなかった。
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