*8*

19/23
前へ
/23ページ
次へ
*海翔side* 芽依の誕生日である20日。 まだ付き合う前に、チラッと聞いていた誕生日を祝ってやりたかった。 芽依には内緒にしてもらってはいたが、 颯介さんの店の予約も本当は一週間前には取っていた。 結構人気があるため、当日に取るのは流石に無理だったけれど。 部屋に着いてからは、 夜景にはしゃぐ芽依を見ているうちに、 俺の理性は直ぐに吹き飛んでしまったが……。 なんとか芽依にも喜んで貰うことに成功し、 俺はホッと胸を撫で下ろしていた。 あと一つのミッションを残して。 「海翔…さん、ありがとう」 少し涙声になりながら、胸に顔を埋めたまんまで言ってくる芽依。 「海翔だろ?言えないんだったら、これはお預けだからな?」 気恥ずかしさを拭い切れない俺は、 どうしてもこんな言い方になってしまう。 「え?」 なんだろう?って表情で、 俺の方を見上げてきた芽依の首にそっと、 この日のために用意していた小さなオープンハートのついたチェーンネックレスをそっとつけた俺。 それに気づいて、また涙を零しながら、 「…海…翔、あり…がとう。 私も愛してる」 初めて俺をそう呼んでくれた芽依をギュッと力任せに抱きしめた。 どっちが、誕生日なんだ?ってくらい、喜んでもらえたことが嬉しくて堪らなかった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1146人が本棚に入れています
本棚に追加