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海翔さんのあったかい腕の中
ぼんやりと…
さっきまでのキスの余韻に浸っていると
『続きは後にして。寒いから行くぞ』
なんて、
私の耳元で意味深な言葉を囁きながら、
私の身体をふわりと抱きしめると
ゆっくり私から離れていく海翔さん。
やっと現実世界に戻った私は、
海翔さんの背中を追いかけるようにして。
まるで
おとぎ話に出てくる
"お菓子の家"のような可愛い建物。
<Ma・maison>という木製のプレートが掲げられたお店へと、
誘(イザナ)われるようにして脚を踏み入れたのだった。
***
内装は、
ベージュを基調とした落ち着いた暖かい雰囲気に包まれていて、
装飾品も主張し過ぎることもなく、落ち着いた趣のあるものばかり。
可愛いらしいテーブルがバランス良く並べられている。
「いらっしゃいませ。
本日はMa・maisonにご予約頂きまして、ありがとうございます。
マ・メゾンは、フランス語で"我が家"という意味です。
どうぞ、我が家と思っておくつろぎ下さいませ」
そして、
柔らかい微笑みを添えて出迎えてくれた上品な大人のジェントルマン。
年齢は多分四十代くらいで、
これまた海翔さんに負けず劣らずのイケメンさん。
「……颯介(ソウスケ)さん、いつも通りでいいって」
それに対して、
呆れたような表情を浮かべて…
素っ気なく冷たい口調で返す海翔さん。
……ん?
海翔さんの知り合い?
そういえば、
誰かに似てるような気がするんだけど……。
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