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「……主任、ごめ…ん…なさい」 きっと… 泣いてる私を放って置けなくて、 心配してくれてるんだろう主任に、 迷惑を掛けてしまってることが申し訳なくて、謝り続ける私に、 「いいって言ってんだろ? 遠慮しすぎなんだよ、お前は。 いつも、何でも文句言うクセに。 こんなときぐらい頼れよ?」 いつも通り口は悪いけど、 いつもより優しい松岡主任。 頭を撫でてくれてる手が優しくて、 暖かくて、なんだかちょっとくすぐったい。 でも、 嫌じゃなくて、 少し気持ちも落ち着いてきた気がする。 だからかな? なんか、 主任って… 「…お兄ちゃん…みたい」 思ったことが口から零れてしまった。 一瞬、 松岡主任の撫でてくれる手が止まったけれど、 「……だったら、お前は、できの悪い弟だな…」 なんて いつものように、 ハハッて笑い飛ばすように笑ったかと思ったら、 そんな言葉が返ってきた。 「主任、そこは"妹"って言ってくださいよ!」 いつものように、 主任を見上げて文句を言うと、 「やっと、調子が戻ったな」 そう言って、 ホッ…としたように笑うと、 額をコツンと指で弾かれた。 「イタッ」
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