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「芽依、リカに何か言われたのか? 俺のせいで、イヤな思いさせて、ごめん。 颯介さんには、遅くなったから行かないって言ってあるから気にしなくて良い。 ごめんな、芽依」 リカさんが帰って直ぐに、 電話を済ませた海翔が凄く心配してくれるけど。 凄く申し訳なさそうに謝ってくれるけど。 短時間に色々あったせいで、 頭の中が一杯一杯になってる私には、 なんにも届いてはくれない。 「海翔は本当に私のこと好きなの? リカさんの代わりじゃないの?」 気づいたら、 泣きながら、そう言ってた。 リカさんの言ったことは、 本当のことじゃないって解ってるのに……。 海翔のことを信じたいって思ってるのに……。 どうしても、 リカさんの自信たっぷりに言ってた言葉が浮かんでくる。 怖いくらい綺麗な笑顔が浮かんできてしまう。 自分に対して自信なんて全然持てない。 もしかしたらって、思ってしまう。 「そんな訳ないだろ? リカに対して好きだとか思ったことはない。 アイツにだって付き合ってる男がいつも居たし。 男とうまくいってない時に相手させられてた、それだけだ」 私のことを強く抱きしめながらキッパリと言ってくる海翔に、 「海翔は好きじゃなくても、そういうこと平気でできるもんね? 私ともうまくいかなくなったら、リカさんとこ行っちゃうんだ? だったら、今、行っちゃえば良いじゃない! 泣かれるのイヤなんでしょ? 煩わしいんでしょ? もう…ヤダ!早く行って!」 頭の中が、 グチャグチャになってしまってた私は、 捲し立てるようにして酷い言葉をぶつけてしまってた。 海翔がその事で苦しんでるって知ってた筈なのに……。
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