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素敵な誕生日を過ごしてからは、 『海翔さん』のことを『海翔』って呼ぶようになった。 だって、 そう呼ばないと、 海翔の機嫌がすこぶる悪くなってしまうんだもん……。 それに、 『海翔さん』って呼ぶ度に、 ちょっと恥ずかしくて言えないような『お仕置き』が待ってるし。 そんなことより、 今夜はX'mas 。 颯介さんのレストランで、身内だけを招いてのパーティーがある。 そのパーティーに行くため、 定時で仕事を終えた私は、 一度、部屋に帰って着替えてから、 海翔の待つ動物病院へと向かっているのだった。 踊る胸を抑えながら… 足早で歩いていると、 いつもよりオシャレをした短めのスカートの裾までが、 踊ってるように跳ねていた。 少し、短すぎたかな? なんて… スカートの裾を押さえながら… 顔が緩むのを引き締めながら、 何か、言ってくれるかな? 海翔のことだから、 照れながら…はぐらかされるのかなぁ? 逢ったときの海翔の反応ばかり考えていた。 勿論、貰った大事なネックレスをマフラーの下で揺らしながら。
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