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診察室から飛び出すようにして走り去ってしまった芽依。
俺が芽依の後を追うために、
リカの身体を振りほどいて走ろうとするのをリカの腕によって阻まれた。
俺の着ている白衣の裾が掴まれたことにより、
ピーンと引っ張られる白い生地。
「…っなんなんだよ!?」
それでなくとも苛ついてるっていうのに、
余計…イライラが募っていく。
それを掴んでるリカを睨み付けて、
苛立ちをそのまま声にして投げつける俺には、僅かな余裕さえなかった。
そんな俺を驚いた表情で見つめてくるリカ。
「こんなの海翔らしくない」
ほんの僅かな余裕さえもなかった俺には、
リカが呟いた声なんて耳に届く筈もなく。
そのままリカの腕を振り払うと、
診察室から飛び出すようにして芽依の後を追いかけた。
「あんなことで動揺するなんて…見かけと一緒で子供じゃない。
負ける気しないんだけど…」
そう漏らしたリカの言葉なんて知らずに……。
俺は、
ただ、芽依の後を追って、
誤解を解くことしか考えられなかった。
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