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*芽依side*
海翔の動物病院から飛び出して来た私は、
商店街にある近くのコンビニの前まで来ていた。
あんまり行き交う人も居ない寂れた商店街。
人にぶつかる心配なんて必要ないぐらいの人気のない通り。
なのに、
コンビニの前を走って通り抜けようとしていた私は、
ちょうどコンビニから出てきた人に、
ドン…って勢いよくぶつかってしまった。
「キャッ…」
「うわぁ…」
ぶつかったことに一瞬…驚いたけれど、
そんなことより、
ぶつかったことに謝ろうと思った私は、
慌ててぶつかった人に向き直って
ガバッ…と頭を下げて謝った。
「……すみませんっ。
あのっ、急いでて、全然…見てなくて、ホントに、すみません…でした…」
息切れしながら途切れ途切れに。
そんな私には、
ぶつかった人の顔なんて見てる余裕なんてなくて。
ただ頭を下げて荒い呼吸のまま謝り続けた。
「…おい、お前、泣いてんじゃねぇかよ。どっか痛むのか?」
でも、
下げたまんまの私の頭に降ってきた声は、
思いもよらない人のものだった。
この声って……
「……え?」
聞き慣れた声の主を見上げると、
そこには、
心配そうに私を見つめる松岡主任の姿があった。
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