*11*

13/23
前へ
/23ページ
次へ
午後になって、 私が海翔とゆっくり部屋で過ごしたいって言ったため、 のんびりと過ごしているんだけど。 ソファーでなにやら難しそうな分厚い専門書を読み始めた海翔。 隣に座ってる私は、 邪魔にならないように気を付けていたつもりだったんだけど、 「芽依、あんま見られたら気が散る」 「……あ、うん、ごめんなさい」 注意されてしまって、 シュンとなってしまった私。 そんなに見てたつもりはなかったんだけどなぁ? そうは思いながらも、 邪魔にならないように、海翔から少し距離をとって座ろうと腰を上げると、 急に腕を引っ張られてしまって、 バランスを崩した私の身体が海翔に抱き止められた。 「キャッ、何?びっくりしたぁ」 海翔に正面から抱きついた状態で聞けば… 「俺から離れようとするからだろ?」 不機嫌そうな声が返ってきた。 海翔が言ってきたからなのに……。 「え、でも、気が散るんでしょ?」 思ったまま聞き返すと、 「見られるのは気になるけど、芽依の気配は傍で感じてたい…」 なんて、 今度はボソボソとバツ悪そうな声が返された。 それを聞いた途端、頬が緩んでいくのが自分でも解った。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1031人が本棚に入れています
本棚に追加