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午後になって、
私が海翔とゆっくり部屋で過ごしたいって言ったため、
のんびりと過ごしているんだけど。
ソファーでなにやら難しそうな分厚い専門書を読み始めた海翔。
隣に座ってる私は、
邪魔にならないように気を付けていたつもりだったんだけど、
「芽依、あんま見られたら気が散る」
「……あ、うん、ごめんなさい」
注意されてしまって、
シュンとなってしまった私。
そんなに見てたつもりはなかったんだけどなぁ?
そうは思いながらも、
邪魔にならないように、海翔から少し距離をとって座ろうと腰を上げると、
急に腕を引っ張られてしまって、
バランスを崩した私の身体が海翔に抱き止められた。
「キャッ、何?びっくりしたぁ」
海翔に正面から抱きついた状態で聞けば…
「俺から離れようとするからだろ?」
不機嫌そうな声が返ってきた。
海翔が言ってきたからなのに……。
「え、でも、気が散るんでしょ?」
思ったまま聞き返すと、
「見られるのは気になるけど、芽依の気配は傍で感じてたい…」
なんて、
今度はボソボソとバツ悪そうな声が返された。
それを聞いた途端、頬が緩んでいくのが自分でも解った。
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