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海翔の部屋に一緒に戻ってきた私は、
部屋に入って直ぐに海翔に後ろから包み込むようにして抱きしめられた。
「芽依、さっきからずっと変だぞ?」
ゆっくり首筋に顔を埋めてくると、
やっぱり心配そうに聞いてくる。
「…ちょっと眠くなっちゃっただけだよ」
そう誤魔化すことしかできなかった。
「ウソつくなよ?
スッゲー…泣きそうな顔してんじゃねぇかよ」
そんな私を強く抱きしめながら悲しそうな声が落とされた。
「そんなことないよ。さっき欠伸したからだよ」
それでも、海翔のことを想うとやっぱり何も言えなくて。
「誤魔化すな。
芽依のこと好きな俺には、それくらい解んだよ?」
それなのに、
海翔の口から"好き"って言葉を聞いた途端に、
何もかもの抑えが効かなくなってしまって。
「…ごめん、なさい」
泣きながら、そう言ってた。
「何謝ってんだよ?」
だって、
しのさんに逢ってからの海翔が凄く悲しそうに見えるんだもん。
海翔の切なそうな声が身体から響いて伝わってくるんだもん。
まるで泣いてるような悲しそうな切ない声が……。
私、やっぱり怖いよ。
怖くて堪らないよ……。
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