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海翔は黙って、
しくしくと泣き続ける私のことを
あったかい腕で優しく包んでくれていた。
「……海翔」
「ん?」
一頻(ヒトシキ)り泣いた私が呼ぶと、その先を促すように、
ソッと優しく耳元に頬擦りするようにして、
優しく抱き寄せてくれる海翔の体温が、
心に染み入るように凄くあったかくて、
また頬を冷たい雫が雫れ落ちてゆく。
信じて良いんだよね?
不安にならなくても良いんだよね?
過去のことは解んないけど…、
今は、私だけを見てくれてるんだよね?
「私、スッゴく嫉妬深いみたい。
それでも、好きで居てくれる?」
私は、狡い言い方しかできなかった。
一瞬、
海翔が考え込むのが解って、
思わず目をギュッと瞑ってしまった。
きっと、
しのさんのことを言ってるんだって解ったであろう海翔の返事が怖かったから。
「……当たり前だろ。
芽依こそ俺のこと、ずっと好きで居ろよな?
俺が芽依の将来を背負う覚悟ができるまで、待ってて欲しい」
それなのに、
海翔から返ってきた言葉は思いもよらないものだった。
それを理解するまでにかなりの時間がかかってしまうほどに……。
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