1023人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
余りの衝撃に、
なんにも言葉なんて出てはこなかった。
ただあったかい海翔の体温に包まれたままで。
呆然と立ち尽くしてしまってた。
そんな状態の私の耳元に…
「芽依、聞こえてんのかよ?」
フッ…と軽く笑った海翔から熱い息で囁かれて。
「……ズルイ」
ーーそんなこと言われたら、海翔から離れらんないよ。
さっきまで、
あんなに怖くて怖くて堪らなかったのに……。
例え海翔の心の中に違う女(ヒト)が居たとしても、
それでも良いから海翔の傍に居たいって思っちゃうじゃない……。
やっと現実だって理解した私は、
私の身体に回された海翔の腕にギュッてしがみついて、声を絞り出した。
それを聞いた海翔は、
「いくらズルイって言われても構わねぇよ。
芽依を失わずに済むんだったら、俺はなんだってしてやるよ。
泣いてすがってでも絶対に離したりしねぇからな」
声を僅かに震わせながらそう言うと、
言葉通り痛いぐらいに強く抱きすくめられた。
最初のコメントを投稿しよう!