*11*

7/23
前へ
/23ページ
次へ
……でも、 まだ怒ってるんだからっ! そんなんで誤魔化されないんだから……。 「…ヤダ…どこにも行きたくないし、なんにも欲しくない」 視線を伏せたままでそう返すと… 「芽依、いじわる言って悪かったって。 なぁ?そんなこと言うなよ。 機嫌なおしてくれよ、な?」 呑気だった声が、 段々と真剣なものへとなってきた。 ただ、 意地になってただけだし、 海翔が凄く不安そうな表情をするから、 今更言いにくかったんだけど… 「……じゃぁ、ずっとこのまんまがいい。 海翔が傍に居てくれるだけでいい」 小さな声で思ったままを声にしてみた。 そしたら… 一瞬、 驚いた表情で、 私の顔を覗き込んできたかと思えば… 「……なんだよ?それ……。 芽依は欲がねぇんだな。 もっと、ワガママ言って俺のこと振り回せよ? カッコつかねぇだろ?」 次の瞬間には、 少しだけ声を震わせながらそう言って、 ギューッとキツく抱きしめられていた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1031人が本棚に入れています
本棚に追加