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「なんだよ、バカはないだろ? それに、こんなとこで恥ずかしいってことは、病室帰ったらどんな厭らしーこと言っても、しても良いのかよ?」 私の言葉を聞いた海翔が、少しだけムスッて口を尖らせながら文句を言ってきた。 「だって、恥ずかしいものは恥ずかしいからしょうがないじゃない。 人のアゲアシとらなくても良いじゃない……」 それに速攻で文句を返せば、 「アゲアシだってとりたくなるって。 リハビリ始めてからずっと元気ねーし。 俺にまで無理して仮面みたいな作った笑顔貼り付けてるし。 挙句、俺のためだかなんだか知んねぇけど『結婚なかったことにしよう』って言ってくるし。 さっき芽依にそう言われて、俺がどんな気持ちだったか解ってんのかよ? 芽依が本気で言ってたらどうしようって……不安でしょうがなかったんだからな」 艶っぽい瞳が途端に悲しげなものに変わって、 ギュってきつく胸に引き寄せられたと思ったら、 私の身体を腕の中に掻き抱くようにして閉じ込められてしまった。 途端に、 フワリと海翔の匂いとあったかい温もりに包まれて、 海翔の想いが伝わってきたからか、 涙腺が緩んでじわりと涙が滲んでくる。
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