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「ふざけんな!
『こんな私だけど』って、どーいう意味だよ!
俺にとったら、出逢ったときの芽依も、今ここに居る芽依も一緒なんだよ。
全然、違わねぇんだよ!
そんなこと言うなよ、堂々としてろよ。
そんなこと言ってっと結婚なんてしてやんねえからな…」
私のことを強く抱きしめたままの腕に更にグッと力を込めて、
私の耳元で深くて長い溜め息を吐き出した海翔は、
怒気を含んだ低い声を絞り出すようにして響かせた。
海翔はそう言うけど、
実際におんなじじゃないし、
そんな風に思うことなんてできないんだもん。
どうしても引け目を感じちゃうんだもん。
そう思うことしかできない私は、
「だってそんなこと言われても、手だって思うように動かないし。
歩くのだってゆっくりしか歩けないんだよ?
出逢ったときとは、違うんだもん。
このままだったら、海翔に何かしてあげることもできないかもしれないんだよ?
堂々としてなんていられないよ…」
海翔に対して、
泣きながら思ったまんまをぶつけることしかできなくて。
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