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凄く照れ臭くて、
言いにくかったと思うのに、
それでも言ってくれたことが嬉しくて……。
そのことを少しでも伝えたくて。
「凄くくすぐったいけど、お世辞でも言ってくれて嬉しい。
ありがとう」
海翔のあったかい胸にギュってしがみついたままで伝えれば、
すっごい勢いで、
私の肩を両手で掴んで自分の身体から少し離した海翔が、
私の瞳を真っ直ぐ射抜くようにして覗き込んできたと思ったら、
「はぁ!?
照れくさいの我慢して、せっかく言ったっていうのに……。
お世辞ってなんだよ?
一言、『ありがとう』って言えば良いだろ?」
ムスッて表情を浮かべて、怒った口調で言ってきた。
「え? だって、まぁ、ドレスはお姉さんの旦那さんのデザインだから凄く素敵だし。
海翔は王子様みたいでカッコイイけど、私は普通だもん」
それでも、
気恥ずかしさも相まって、
素直に『ありがとう』なんて言えない私の話しを聞いてた海翔は、
益々不機嫌そうに顔を歪ませて、
「そんなこと言ってっと、今すぐ脱がしちまうぞ?」
今度は意地悪な口調で言ってきたと思えば、
あっという間に、
身体を横抱きに抱き抱えられてしまったのだった。
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