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「らっ、羅智君!お仕事は?」
誰も居ない、テラスへと来ると走ったせいで荒い息のまま、羅智に問いかける。
腕をまくり、額の汗を肩で拭きながらジロりと睨むとマスクを外し、苺実に近づき
「お前は馬鹿か!こんな人がたくさん居る所で俺の名前呼ぶな!バレるだろうが!」
「いっ、今の羅智君の方バレると思うけど…」
怒りを表し怒鳴る羅智に、驚くも唇をむーっと付き出し、近くの椅子に腰掛ける。
てかこの羅智さん、教室にいる時と違くて朝の第一印象の時と同じなんだけど…
「ていうかな、俺と知り合いになれたからって調子に乗るな」
「ちょっ、調子になんか乗ってないもーん」
「いいか?俺はお前より人気のあるアイドルなんだ。お前はまだ無名地下アイドルだろ。そんなの校外でファンに見つかってみろ、お前すぐ消されるぞ」
少し馬鹿にし鼻で笑いながら、ドカリと隣に座る羅智を見ながら
“なっ、なんでそこまで言われなきゃいけないのよ!てかちょ~っと人気があるからってなんなのこの態度!どんだけ上から目線なの!この、天狗っ!性悪!!”
と、思ってた事が表情に出てしまったらしく羅智が苺実の顔をじっ、と見て
「なんか俺の事悪く思ってるっぽいけど、この性格元々だから。直んねーから」
「…性格悪」
心を見透かされた事にも驚いたが、その性格が本性と分かりぼそり、と呟くと羅智はにっこりと笑い苺実の額に片手を持っていき。ぐっと力を込め所謂アイアンクローってやつをした。
「いっ、いたっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!痛いー!!」
「あれ?空耳かな?なんか性格悪いって聞こえたんだけど」
「きっ、聞こえてた!!ごめんなさい!全力ですみません!!」
涙目になりながら言うとパッ、と手が離れ今まで力込められていた場所がじんじんとする。
泣きながら痛む場所を抑え羅智をキッ、と睨むと目が合ったがフッ、と馬鹿にした様に鼻で笑われ逸らされた。
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