劣等と優等

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夜空を見上げ、一人の少女が虚ろな視線で一軒の窓を見やる。 彼女の視る先に青年が泣きながら窓縁に腰掛けていた、彼女は首を傾げ何事も無かったように去って行く。 ――僕の眼に、あの時の少女が映る。 ひしひしと怒りが、心の中から沸き上がるのを堪え。闇雲に駆けて気付くと彼女を追い掛けていた、なのに此方に気付く様子が無い。 あの日に幼なじみは死に、自分は加害者として疑われた。 必死で弁解するも、警察や彼女の両親は僕を疑うばかりか酷い嫌がらせをしてくる。 追い掛けても、決して触れられない少女。殺意が込み上げたが、触れれないと言う事で一気に恐怖心が襲う。 ヒヤリ、何かがそう確かに背後から伸びて頬に触れる。人では無い得体の知れぬナニかに、顔をしかめながら振り向く。 目の前には、前方を歩いていた筈の少女がなに食わぬ顔で立っていた。 思わず唾を飲み、手に嫌な汗を感じる。 心臓が、ドクンッドクンッと激しく脈打っては脳が危険だと言わんばかりに何も考えられなくなった。 思考停止、謂わばそんな状態だったのだろう。彼女は不敵に笑い、忘れ物と言ってナイフで僕の背を刺した。 「これ、あなたのでしょ?」
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