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私は勉強は出来る方だ、自分で言うのも何だがわりとましなのかも知れない。
砂詑木歩夢(サタギアユム)其れがわたしの名前、成績優秀スポーツ万能だったなら良かったのだが。
現実はそう甘くは無い、今日は体育祭。そんな学生にとっての一大イベント、なのに私と言えば。
「きゃっ、退いて!」
「まじかよ、看板壊すなよ。あぁ、もう歩夢は良いから皆で仕上げよう?」
どんくさい、何時も周りからそう言われてた。本当の私は所謂ドジッ子、別にウケ狙いでは無い。
単なる、天然なのかそれとも生まれつきこうなのか。
大事な看板を壊し、クラスメイトには迷惑をかけっぱなし。
これ以上は邪魔なだけ、私は早足に教室を出る。そしてパソコンルームに入った、此処なら誰の邪魔にもならないだろう。
ピッ、そう音がして明かりが教室内に点く。まだ電気をつけていない筈なのだが、不思議に思い首を傾げると。
「あらっ、あなたもさぼり?」
「えっ、あの。先に来てましたか?」
紅い瞳は、兎のよう愛らしく。腰辺りにまで伸びた髪は彼女が首を傾げた瞬間にフワリと靡く、一目で綺麗だと思った。
美少女、そう言うに相応しいくらいに妖艶な容気を漂わせている。
気品ある話しぶりからして、何処かのお嬢様育ちだろうと思えた。
しかし、話してみると。彼女は一般人と変わらないらしい、何でも今日転校してきたばかりで馴染めずに初日からさぼったようだ。
「えぇっ!今からでも戻りなよ……」
「そう、でも遠慮しておくわ。私はやらなきゃいけない用事があって、此所に居るのだから。あなたこそ戻れば?」
クスクスと、愉快そうに笑う彼女に私は苦笑いしながら首を横に振る。
馴染めないクラス、そんな同じ境遇が何処か他人のよう思えなくて友達になりたいと感じた。
波長が合う人に漸く会え、何だが嬉しくなって一人浮かれていた私。すると彼女はパソコンを開き、一言呟く。
今、私がする事を先生や誰かに話さないで。それだけ言い終えると彼女は、紅い瞳に火を宿したかのよう画面を食い入るようにして見た。
ブウンッ、と音がしてパソコン画面が開かれ彼女は慣れた手付きでマウスを操作しては不敵に笑う。
ゾッとした私は、後ろで苦笑しながらただただそんな少女を視ていた。
「あはははは、皆死ねば良いのよ。視てよ、この人間何て……」
少女は狂った、原因はあのサイトを開けたからだろう。しかしそこには作成の文字、嫌な予感がした。
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