1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたは、誰なの。人間だよね……?」
思わず問いただす、途端に笑止した彼女の眼は酷く曇りきっていた。紅い瞳は怒りを露に、大きく波うつよう揺らぐ。
ポタリ、彼女の眼から血が流れる。頬を伝いながら涙に似たそれは、次第に床に水溜まりをつくる。
人間では無い、少女は何なのか。震える体を支えながら、私は立ち上がって出口へと走った。
矢先、肩を掴まれ思わず振り返る。其所には妖艶な彼女が先程の姿のままに立っていた、ただ一つを除いて。
右手に握られた、鋏が妖しく日の光で照らされる。彼女は言った、ようこそデスワールドへと。
瞬時に辺りが、白一色の空間に変わる。
最初のコメントを投稿しよう!