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フローリング式の床、ところ狭しと並べられた沢山の本は数えきれないくらいに並んでいる。
幾つもの其れは、雑多に床に散らばる形で放り出してあった。
やや雑に、どう見ても他人から視れば散らかった部屋。少し狭いも其処には机と椅子が置かれている、その椅子に少女が一人座っていた。
長く伸びた紫色の髪は、腰辺りにまで伸びきっている。赤い炎を宿すかのような瞳、目元には隈があった。
寝不足気味なのか否か、けれどどちらかと言えば整った容姿をしている。
闇を持つかのように、眼の奥は酷く暗く底見えぬ黒が広がっていた。
少女の名は神山煉(カミヤレン)
四角い壁掛け時計の針は、深夜2時を座している。窓はカーテンで閉めきられ、外の様子は外部からは一切遮断されている。
隣接されたよう、そこに存在する彼女は無表情で愛想の無い顔をパソコンに向けていた。
カタカタと打ち鳴らされる、キーの叩く音が無機質に静寂の中に響き渡る。やがて少女は顔を上げ、悲しげにつまらないと呟く。
「私は一人ぼっちの、可哀想な子……」
そう言い、再びパソコン画面に目を落とす彼女は密かにニタリと不敵な笑みを浮かべる。
少女には夢が無い、ただ闇を抱えていた。
そして、あるサイトを作りながらふと窓側を見やる。途端にひきつった顔をして皺のついたジャンパーのフードを深く被り、眉を潜めて唇を噛み締めた。
怒りとも読み取れる、そんな明らかな嫌悪そうな表情を浮かべて彼女は顔を隠す。
誰にも見られたくはない、そんな根強い印象を付けるよう涙さえ溢した少女。
「来ないで、お願いだから…私に近付かないでよっ…」
か細く、彼女は泣きながら訴える。けれど部屋に誰かが来る様子は無い、単に煉が幻覚を見ているようだ。
何かに震え、そして何かに臆する彼女は先程までとはうって変わり涙を流す。
恐怖し、ガクガクと震えたままに煉は一人で嗚咽混じりに泣く。
矢先、窓のカーテンが強風によって捲られた。その窓からナニかが入って来る、彼女の怯える正体だ。
煉は深くフードを被ったまま、両手で確りと抑えては窓側を視て凄むような眼差しを向けた。
「煉、ううん。ねえ私?早く実験を始めましょうよ」
聞こえたのは悪魔の声、気のせいだ。そう言わんばかりに彼女は言い返す、出て行って。そんな強がった言葉にもう一人の少女が、クスクスと笑う。
「どうして?皆あなたの敵、ううん人類こそが裁かれるべきよ」
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