劣等と優等

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自殺志望、そんな事を望むから命を落とす。彼女はそれを叶えただけ、そう考えていたのかも知れない。 ただ後から涙を流す燐を、少女は笑いながら視ていた。まだ生きていた、なのに彼女は焼かれて死んだ。 煉は近くにある人骨を、火の中にくべた。まるで焚き火をしているようだが、証拠を隠滅しているだけ。 「行くわよ、次の人が来る。そうしたら、また安らぎを与えてあげましょう?」 「うん」 二人は頷き、妖艶に笑った。 軈て、その瞬間にまた一人と誰かが訪れる。今度は青年だった、深く被ったキャップにTシャツ姿の彼は暗い表情を浮かべている。 一向に顔を上げない、そんな様子に彼女自らが近付き悪魔のよう囁く。
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