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「それが"恋愛したくなった"と宣言する人の顔ですか…」
「そんなおかしな顔してますか?」
「あたしの大嫌いな胡散臭い顔はしてますね」
「ははは、やっぱり涼華さんには敵わないな」
小細工は通用しないようだ。
そう付け加え、蓮池さんはようやく腰に回していた腕を解いた。
離れたことで靴底に踏みつけられた砂利が小さく砕ける。周囲に人がいないのがせめてもの救いだったかもしれない。さっきのキスといい、互いの距離といい、この趣ある庭園には酷く似つかない。
仲居さんに見つかりでもしたら、自重するよう注意されそうだ。
やがて蓮池さんは小石の敷きつめられた砂利道をまた歩き出す。
そして今度は首だけをこちらに向けて「来てくれますよね?」と、優しげに目を細めた。
「まぁ"恋愛"の件は冗談として、暇潰しだと思って参加してもらえたら嬉しいんですけど」
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