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「別にアンタのことなんか疑ってないって」
「嘘つくなよ、お前!あの目は確かに俺を疑ってる目だった…!」
「あの目ってどの目よ…。あぁもう、さっきから冗談だって言ってるのにしつこいわね」
「しつこいゆーな…!」
聞けば、響もお見合いがあったあの日、茶封筒に入っていたアルバムを見て知ったらしい。
週末のお見合いからパーティーまでの5日間、響からの音沙汰は一切なかった。いつもお見合いがあった日は、ウザイくらい断りの電話を入れるよう仕向けたがるのに。
だからあえてその理由を求めると、響は躊躇いがちに目を泳がせながら「お前ぜってぇ疑うじゃん…」不満げにボヤいた。
さっきまでの凛々しさはどこへ行ってしまったのか、叶としての威厳は微塵も感じられない。
…まったく情けない。
「別に黙ってることないのに」
「いやいや、あんな剣幕な顔で詰め寄られたら誰だって逃げ腰になるっつうの」
「はぁー…」
「なにそのタメ息」
「そういう意味じゃなくて、ただ響も知っていたならいろいろ聞いてほしいこととかあったのになぁと思って」
「や、だから、それはほんと悪かったって…」
わざと寂しげに語尾を弱めると、響は申し訳なさそうにシュンと眉を垂らした。
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