Act.4 無意味に色づく赤い花

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  「本性どころか、もっと凄いところまで見せ合った仲ですからね」 「…っ、蓮池さん!」 思いがけない声に驚いたのはあたしだけじゃなかったらしい。 響の見開かれた眼差しが、シャンパングラス片手に近づいてきた人物へと注がれる。 「バタバタしてしまって申し訳ありません。楽しんでいただけてますか?」 蓮池さんはグラスに入ったシャンパンを軽く揺らしながら言う。 グループの代表としてパーティーを取り仕切っている蓮池さんはいつも以上に落ち着きのある雰囲気をまとい、あたしの隣に立った。 そして響の持っていたグラスに自分のグラスをぶつけて「飲みましょう」と、カツンと軽快な音とともに微笑む。 しかし、響の驚きは消えない。 「あの、さっきの"見せ合った"というのは…」 「はい?」 一体どういうことでしょうか? と、恐る恐る聞き返した響。蓮池さんはきょとんとして首を傾げるが、でもすぐに何を言われたのか察したようで、キリッとした唇に薄い笑みをのせた。
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