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「だいたい恥じらうようなたまかよ」
「うるさいわね。普段はオトコのほうから言い寄ってくるんだから仕方ないでしょ?あたしにそういう苦労は必要ないのよ」
「お前なぁ…」
ツンとそっぽを向いたあたしに、響は呆れたように目を細めて溜息を吐く。
ランチで訪れたカフェはお昼を楽しむOLたちで賑わっていた。中には響の容姿に黄色い声を上げるOLたちもいて。何を勘違いしているんだか、四方八方から突き刺さってくる視線がかなりウザい。
もちろん妬みでしかない敵意を向けられたって痛くも痒くも何ともなく、あたしはあえて気にも留めずにはぁ…と肩を落とした。
「あー…、なんで梓はあたしにコロッといかないのかしら」
憂いげに頬杖をつき、すっかり氷の溶けてしまったアイスティーへ手を伸ばす。
グラスの表面にはたくさんの水滴が溜まっていて、ネイルアートの施された指を不快に濡らした。
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